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HANDS世田谷スタッフによる、
お勧めの本・映画・音楽などをご紹介していきます。
どうぞご賞味くださいませ。

プロケースワーカー100の心得―福祉事務所・生活保護担当員の現場でしたたかに生き抜く法 福祉事務所と私たちは切っても縁が切れません。筆者はベテランのケースワーカーです。今,生活保護を始め、福祉手当,年金、は削減の一方です。そんな中で、どんな思いでやっているのかがよくわかります。ケースワーカーと聞くと接しにくいですが,仲良くなるための1冊になればと思います.
2012/11/06(火) 22:02 PERMALINK
県庁おもてなし課 私が紹介するのは有川浩さんの『県庁おもてなし課』です。
私が有川浩さんの作品を初めて呼んだのは、大学の友達に勧められた『図書館戦争シリーズ』でした。有川浩さんの作品は、登場人物の掛け合いや食べ物や風景の描写が上手くすぐにはまってしまいました。それ以来有川さんの作品はかかさず読むようにしています。
今回紹介する『県庁おもてなし課』は、高知県の観光を盛り上げるために県庁に「おもてなし課」が発足し、高知県に人を呼ぼうと奮闘する物語です。
県庁という堅苦しい場所が舞台ですが、有川さんお得意の登場人物の掛け合い(方言を使った会話など)のおかげですらすらと読むことができました。
「おもてなし課」の職員がどのように成長し、県庁という縦社会の中でどのように企画を通すかが見所です。
みなさんも読んでみてください。
2012/07/26(木) 20:51 PERMALINK
季節の記憶 (中公文庫) 保坂和志の1996年に出版された小説。
鎌倉に住む父と息子の、特に何も起こらないごくありふれた日常が描かれているだけの話。しかし、父の息子への向き合い方や接し方、近所に住む家族との関係が、泣いたり笑ったりとは違う種類の静かで澄んだ感動をおぼえる。小津安二郎の映画のような、ごく日常に溢れる美しさがちりばめられている小説。

保坂和志の小説は、「何も起こらない」「ユルい」と評されることが多い。実際、彼の小説では、何も起こらない、誰も死なない、性描写もない。平坦な日常がただ描かれているだけだ。そしてその文章は、読点が永遠に続き一文が長い。慣れるまではリズムが掴みづらくダラダラした印象があり、それが一層ユルさを引き立たす。
彼の小説しか読んだことのない人は、彼を、彼の小説に出てくる主人公のように「ユルい人」だと思うかもしれない。しかし、エッセイを読めば、彼が、もしかすると他のどの小説家よりも哲学的で論理的な思想の持ち主だということに驚くと思う。そして、呆れるほどに小説のことしか考えていないことにも。

この小説も、彼の真摯に小説に向き合い、生きることを常に考えた末に生まれたものだと思う。しかし、一切の押し付けや教訓じみたところはない。徹底して存在しない。何も考えずに読めば、ただのユルい人達が出てくるダラダラしたユルい話だ。気楽に読める。
しかし、私たちがいつもの何気ない会話にも新しさや感動、尊敬を発見するように、彼らの何でもない日常からも同じような感情が自分の中に生まれてくる。
何の事件が起きないことと、何の心の変化がないことはイコールではない。

この小説の一番素晴らしいところは、父親の子供に対する姿勢と言葉だ。何よりも大切な本質的なことだけは手を抜かず徹底的に向き合う。一人の人間として話しかける言葉が、親や年長という位置でなく、「今はそれを君は知らないだけだよ。私は知っているだけだよ」という同じ目線にあることが、本当に素晴らしい。


保坂和志が、どうしてこのような形の小説を書いているのか。それは「書きあぐねている人のための小説入門」というエッセイからも分かる。これは、小説を書きたい人たちだけでなく、すべての芸術や創作活動をしている人たちに読んでもらいたい優れた芸術論だと思う。
そして、この本を読めば、「ユルい」だけだと思っていた小説が、どれほど「小説」という呪縛から自由になろうとしている小説かが分かると思う。

どちらも、お勧めの本です。
(yuka)
2011/10/21(金) 02:52 PERMALINK
フリーター、家を買う。 昨今問題視されている、「フリーター」や「ニート」と呼ばれる若者の視点から、再就職、うつ病を持つ家族との関係性など様々な問題と向き合う様子が描かれる。
フィクションであるため、多少のご都合主義は否めないが、それでも問題解決のために一念発起し、悩みながら奔走する主人公の姿は読者に活力を与える。
「うつ病」という、具体的な症状が世間一般にはまだあまり認知・理解されているとは言い難い精神症状を、その家族の視点から描いたことで、話題作となった。

2009年に初版が発行、2010年にはドラマ化され、
主人公「武 誠治」役を嵐の二宮和也が演じ、大ヒット作となりました。
一見とっつきにくい重いテーマを、ライトノベル出身のベストセラー作家「有川 浩」が
爽やかに描いています。
転職の際の採用面接に挑む主人公の心情も細かく書かれているので、
「就職・転職の指南書のひとつ」として読んでみても面白いかもしれません。
(bassy)

2011/09/28(水) 02:08 PERMALINK
困ってるひと 富士山、チョモランマ、マッキンリー…。
世界各国、登頂が困難な山々は本当にたくさんあるが、
我々にとって馴染み深いこの「日本」国内にこそ、登山者に最も困難を強いる超巨大な山が存在している。

現代社会における「制度」という大きな大きな山。

本来であれば多くの人々を支え、支援するために設けられたこの「制度」の存在は、現実では冷たく重い鋼鉄の鎖となって、生きようとする人をがんじがらめに縛り付ける。

この山の、登っていくことがなんと困難なことか。
それこそ命がけである。
遠くから眺めて、ぼんやりとその全容が辛うじて見えるようにも感じるが、
如何せん眺めているだけの時といざ地に足をつけて挑まなければならない時とでは歴然とした大きな差がある。

誰でも、登らなければならない時が必ず来る。
いざ自分が「制度」というの山の麓に立ったとき、その穴ぼこだらけの足元と、
脆く崩れやすい斜面に愕然とする。
必要な政策を求める者を、次々と容赦なく暗く深い谷間に突き落としていく、日本の「制度」。
満身創痍でもひたすら「登らせる」ことのみを強制する、この現代日本社会の問題点に向き合い、
戦いを挑む26歳のうら若き乙女である筆者のリアルな視点が、
読者に強い問題提起を投げかけていく。

世代や職業を問わず、老若男女様々な人に読んで頂きたい一冊です。
ちょっと僕も友人知人に広めまくってきます。
(bassy)
2011/09/16(金) 02:31 PERMALINK